2006年01月21日作成
2006年05月29日更新

さおだけ屋はなぜ潰れないのか? 身近な疑問からはじめる会計学

The Special Providence - 書評 - さおだけ屋はなぜ潰れないのか?


さおだけ屋はなぜ潰れないのか? 身近な疑問からはじめる会計学 山田 真哉 著 光文社新書 刊 ISBN4-334-03291-5

非常によく売れた、会計学をやさしく解説した本です。ただ、私は全部を通して読んでみて、なるほど目の付け所は面白いけれども、あまりに簡素すぎやしないか、と思ってしまいました。前書きで「難しいところは読み飛ばしてください」と書いてありますが、読み飛ばすようなところなど1箇所もありません。それだけ単純にしてしまって、悪く言えば内容が無い本です。これだけ読んでも、通常の会計学の教科書のほんの数ページにしかならないのではないでしょうか。実際全部読むのに1時間と掛かりませんでした。もちろん、著者としてもほんのさわりだけを説明して、少しでも興味を持った人はもっと専門的な本を、というつもりで書いているのだとは思います。

キャッシュフローの説明のところで、飲み会の代金をいつも立替払いしてクレジットカードで支払う人の話が出てきます。これは確かにクレジットカードの請求が翌月以降になって、一時的に手持ちの現金を増やすという意味でキャッシュインを増やしていることにつながっているのですが、だからといって個人のレベルでこれがどうということがあるとは思えません。その他のところで「会社経営の考え方をそのまま個人に適用してもたいした意味は無い」と書いてあるのに、この章では会社経営の考え方であるキャッシュフローを個人に適用しているのはよくわかりません。会社であればフリーキャッシュフローがあれば他に投資するなどして利益を増やせますが、個人ではなかなか難しいことだと思います。もちろん、クレジットカードでの立替払いに利点が無いわけではなく、クレジットカード側の特典(主にポイント制度)が嬉しいわけで、そういうことで飲み会での立替払いというのは分かっている人たちで飲み会をしていると「自分が立て替える」という言い争いが起きるくらいのことです。そういうことに本書は全く触れていません。もちろん本質ではないので触れていないのでしょうけど。

本書では「さおだけ屋はなぜ潰れないのか?」ということに解答を与えてありますが、それも別に会計上の特別なトリックがあるとかではないわけで、この本を読んで会計学が分かるとは到底言えないでしょう。触れているのはごく当たり前のことばかりです。私はこの本を中古で買ってしまいましたが、図書館で借りるレベルの本だといえます。

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