2007年01月27日作成
2008年01月27日更新

本当の潜水艦の戦い方 優れた用兵者が操る特異な艦種

The Special Providence - 書評 - 本当の潜水艦の戦い方


本当の潜水艦の戦い方 優れた用兵者が操る特異な艦種 中村 秀樹 著 光人社NF文庫 刊 ISBN4-7698-2493-9

海上自衛隊の元潜水艦長が書いた潜水艦戦について書いた本。潜水艦の特性を分析し、その特性を生かして戦うにはどうすればよいかを解説しています。

太平洋戦争時の日本海軍の潜水艦戦についてかなり詳しく解説をしています。正直、今と全然違う状況での戦いを分析してみて現代戦に役に立つのだろうかと思ったのですが、意外とかなり興味深いです。初期の頃には潜水艦の特性を全く理解していない上層部が潜水艦の長所を殺してしまうような作戦命令をして大損害を被っているのに対して、時間が経過するにつれてさすがに学習して様々な工夫をして、かなり被害を抑えて戦果も拡大しているようです。作戦次第でこれだけ変わるということが驚きです。

現代の海上自衛隊の体制についてはかなり苦言を呈しています。アメリカ海軍の応援を期待して戦術も装備も組み立てているので、あまりに極端に対潜作戦に特化しすぎて汎用性がないとのこと。それは確かにそうなのですが、だからといって著者の主張するような大規模な対水上戦闘ができるような大海軍を建設することが現代の日本において現実的であるとは到底いえないでしょう。また世界に広がるシーレーンの防衛にしてみても、アメリカ海軍ですら単独で遂行することは困難であるのに、日本がそれをせよというのは到底無理な話です。そういう問題があるからこそ同盟を組むというのに、何でも単独でできるようになっていなければ問題視するというのはおかしいでしょう。演習に際して、撃沈判定を受けた艦が演習上の都合ですぐに復帰することも、戦力が局限された環境で戦う訓練ができていない、甘いと批判しているのですが、それもまたお門違いですね。演習では作戦を立てること自体ではなく、作戦通りに船を動かせるか、人を動かせるかということが大事なのであって、作戦の計画自体はコンピュータシミュレーションで何度でも練習をやればよいのです。多大な経費と時間を使って演習をやっているのに、撃沈判定を受けた艦艇はすぐに演習から離脱してその後の艦と人の動かし方の訓練に参加できないのはそれこそ間違っているでしょう。

自衛官がサラリーマン化して士気が下がっているとの批判は、中の人間ではない以上どうなのか分かりませんが、そういうところもあるのかもしれません。しかし、中にいた人間だからといって全体を見通せているわけではない、ということは上記のような事で明らかなので、興味深い本ではあるものの、全てをまともに受け入れることはできないということを感じました。

本当の潜水艦の戦い方 - 書評 - The Special Providence

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